前回のお話はこちら → [スピードスターさん第1話|見ててね!が合図]
→ [スピードスターさん第2話|スピードスタータイプの挑戦心]
最初のまなざし
休憩時間になっても、ずっと動いている子がいます。
友だちに話しかけたり、プリントを配ったり、消しゴムを転がして笑ったり。
その目はどこか楽しそうで、まるで風のように軽やかです。
今日は、そんな“止まれない”すばしっこい彼についてのお話です。
その日の教室で
学習がひと段落して、「少し休もうか」と声をかけたときのこと。
その子はイスから立ち上がり、プリントを並べ直す手伝いを始めました。
「座ってていいよ」と言っても、「大丈夫!まだ元気!」と笑顔。
ほんの短いブレイクタイムさえも、“何かしていたい”気持ちが溢れているようでした。
でも、そんな子にもふっと静かになる瞬間があります。
鉛筆を削る音が止まり、少しだけ遠くを見るような顔。
そのまなざしは、いつもの勢いとは少し違って見えました。
教室の片隅で思ったこと
スピードスタータイプの子は、動くことで安心しているのかもしれません。
体が止まっても、心がまだ走っている。
そのリズムを無理に止めるより、「静けさ」を見つけるタイミングを一緒に待つのがいいのだと思います。
教室には、風のような子も、土のようにゆっくり構える子もいます。
それぞれのペースが重なり合って、やさしい時間が流れていく。
その調和を見ていると、学びの場は小さな自然のようだと感じます。
この子が教えてくれたこと

学習が終わって帰りの準備を済ませると
その子は私のところに駆け寄って、笑顔で「帰るまでなにをすればいい?」
「お手伝いしよっか?」と声を上げました。
動くことが好きで、動く中で気持ちを整えていく。
その姿を見ていると、「静けさ」もまた、その子なりの形で見つければいいんだなと思わされます。
「見ててね!」が合図|スピードスタータイプの子どもが輝く瞬間(第1話)



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