消しゴムばかり使う、あの子の話。

教室の机で静かにプリントへ向かう女の子。消しゴムをそばに置き、やわらかな朝の光が差し込む水彩風イラスト。 教室ストーリー
「間違えたくない」 そんな気持ちを、小さな背中から感じた日の話。

教室で、

何度も消しゴムを使う子がいました。

少し書いては消す。

また書いて、

少し違うと思ったら、また消す。

プリントより先に、消しゴムが減っていく。

そんな感じでした。


「間違えても大丈夫だよ」

そう声をかけても、

その子の手は止まらない。

きっとその子の中で、

“間違えること”は、

すごく怖いことだったんだと思います。


完璧じゃないと不安。

ちゃんとできないと、自分を許せない。

そんな空気が、

小さな背中から伝わってきました。


ある日、

私はその子に言いました。

「ミスはね、次の大成功の種だよ。」


その瞬間。

その子の顔が、

少しだけゆるんだんです。

消しゴムを握る手も、

前より軽く見えました。


やってみて、

間違えて、

またやってみる。

本当は、

その繰り返しの中にこそ、

その子らしさが育っていく。


でも、

子どもって時々、

「失敗しちゃダメ」を、

私たちが思う以上に抱えている。


だから私は、

できたかどうかより、

「間違えても大丈夫」

と思える空気を

大事にしたいと思っています。

安心できる場所がある子は、

また挑戦できるから。

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